昨日から相当な降りになっています。
幸いなことに我が家は、舌状に伸びきったごく低い丘の先端に有り、
急な水害や土砂災害のおそれはありませんが、早く収まるのを祈るばかりです。
ちょうど昨日は恒例の漢文塾のために入洛していましたが、
エリアメールが始終鳴り響き、なんとも落ち着きませんでした。
ほんとうに今日だったら行けないところでしたね。
さて、帰ってから自宅の本棚をごそごそしていたら、
東洋史家として著名な宮崎市定の本が出てきました。
塾の先生に勧められていた著者の本はたくさんあるのですが、
それとは別で、これは『木米と永翁』(中公文庫)というエッセイ集でした。
老母の入浴のあと、寝転びながら読んでいると、そのなかに
「金を儲ける法」という一文が有りました。
有名な資治通鑑のなかに金儲けの法が載っているかと思った人物が、
内藤湖南に問うたことがあって、その答えを宮崎が代わって云えばとして
次のように書いています。
金儲けに一番有利なのは、政権と結託することである。政治には必ず利権が伴うだから、ただ同様で官有地を払い下げてもらったり、あるいはただ同様の土地だったのを、土一升金一升で買い上げさせる。政治力はまた多かれ少なかれ、必ず経済を統制する。そういう時はいち早く、統制の波にのって政治権力のお先棒をかつぐことだ。
(中略)
政権と結託すると儲かるのは、結局、大勢の人の頭をはねることになるからだ。政治というものはそれ自身が、人民の頭をはねて成立するものだからそこへ寄食しておなじようなことをやると儲かるのは自然の勢いだ。だから政権に結びつくには、なるべく大本の方をねらう。大本の方は流れが太いから、ちょっとした穴からでも、儲けの吹き出す分量が多い。
このあとも面白いことが書いてあって、結局一番儲かるのは人の弱みにつけ込む新興宗教だとあります。
ははーん。以下略。
碩学たる先生は縁遠いと思われる政治や金儲けの極意についても通暁されているようです。