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江戸前期に異色の禅僧として活躍した鈴木正三の
これまた異色の仮名草子「因果物語」を古典文庫版で買いました。
京都の古本市でも大量にならんでいることがありますが
いざとなって欲しいのがあってもなかなか探せません。
不勉強で知りませんでしたが、この叢書のなりたちをしらべると
なかなか貴いものと思われます。
いまならネット上で探すこともできるわけですが
文庫版というかたちで手にして古典を読めるのは得がたいと思います。
正三は旗本で、中年で発心した禅者ですが、庶民への布教に力を尽くし、
そのなかでこの物語に納められた怪異譚を収集記録したそうです。
ただこれがどう禅と結びつくのか、正直はなはだ疑問ではありますね。
禅宗というものが、近世の寺檀制度を背景に、本来的には縁の薄い地域社会や
世俗の人々の間に浸透していくについては、
やはりこういうやりかたがあったのだなぁと感じます。
三河出身で同国をはじめ近江でも多く布教しているので
見慣れた地名が沢山出て来て興味深いです。