逍遥游

本を読んだり、無軌道に自転車に乗ったり、オールドデジカメでブラパチしたり……。

『東京路上探検記』

このところかなりの数の本を処分しました。

ほとんど勢いで段ボールに詰めたので、あとであれどこ行ったっけ

ということもあるのですが、なぜか毎回残ってしまう本もありますね。

文・尾辻克彦/絵・赤瀬川原平 名義でだされた『東京路上探検記』新潮社(昭和61年)

のこれは文庫版(平成元年)。あえて元号で書きましたが、なんとも感慨深いです。

リアルタイムで読み始めたのは『カメラが欲しい』からだったと記憶しています。

同時期には『超芸術トマソン』の世界があり、カメラと路上観察の遊びに引き入れてくれた本たちでした。

赤瀬川さんのカメラ遊びはたとえば田中長徳さんなどとは異なり、やはり尾辻名義で繰り広げられる文学世界に針が傾く感じで、アサヒカメラに連載された「こんなカメラに触りたい」なども、あまりよい読者ではありませんでした。

でも今読み返すとそれがかえってよく、内田百閒の世界とも通じる魅力があり

これはやはり尾辻名義の作品と納得しました。

筆者の後書きは「この探検記を書く間に二年が過ぎた。もともとはトマソンを探して町を歩いていたのが、さらに東京という妙な宇宙を意識して歩くようになり、私は東京の深宇宙に入り込んでいたのだ」で始められています。

連載の掲載誌は『芸術新潮』だったそうですが、結構人の死ぬ話(しかも謎めいた)が出て来て、その意味でも「深宇宙」という表現がにつかわしい。

 

文庫版の装丁は気に入らないのですが……(これはキオスクなんかで売っているポケット地図のイメージかな)。

当時の単行本で揃えてみようかしら。とくに80年代かな

 

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