里山は夏模様
まったくもって表題の通りです。
一週間ぶりに裏山を歩いてきました。
三時過ぎて、日ざしがやわらいだかなと思ったのは気のせいでした。
いつもの小径を歩きましたが、はて、道を間違えたかなと思うくらいの変貌ぶりです。
汗をかかない程度にゆっくり登っていきます。
鳥のさえずりを楽しみ、松柏の香りをきき、木漏れ日を愛でながら……。
なんて少し強がりをつぶやきながら、小一時間の散歩を楽しみました。
帰宅後本の整理をしていると、杉本秀太郎の『洛中生息』が出て来ました。
みすゞから出ている単行本で1976年のもの、表紙は祇園祭の棒振りのようです。
たしか文庫本でももっていたはずですが、幾度かの引越のうちに無くしてしまい
改めて買い求めたとおぼえています。
今の時期にあうのはないかと頁を繰ってみると、「かきつばた」と題した小文がありました。
京都でかきつばたといえば……。やはり大田神社のかきつばたのことです。
老母の育った上賀茂藤木町からすこし東ヘ、家並みからちょっと北に上がった
山裾に鎮座する大田神社へは、私も親元の家にいくごとに遊びにいったものです。
杉本が大田神社に向かったのは、いうまでもなくかきつばたを愛でるためです。
しかし、時期がずれていたことと、神職が境内に無粋にも赤いバラを植えていることに興ざめして、
そこから例によって、美意識の衰亡を歎ずるわけですが
それはともかく、老母はほとんど、そのかきつばたの記憶がないようです。
鴨一族の末裔の家々のいろんな話はよう覚えているんですが……。
ふしぎなことです。
*クモの巣が増えてきました。
*連休までとは緑の濃さが違います。山裾はうす暗いほどです。