読書三昧
一日うっとおしい空模様でした。
気圧も下がってきて、母の機嫌も下降気味。
こういう日は無理してそとに出てもろくな事が無いので終日本読みです。
午前中はずっと読んでいる狩野直喜の『中国哲学史』(1953)岩波書店
狩野は著名な中国学者ですが、生前の著作はわずか。
それで講義録を没後に関係者が本にしたものです。
いまもそういう先生はおられます、きっちりノートを作ってそれで講義される方。
吉川幸次郎の後書きを読むと狩野の講義ノートは半分位がが残って居て
あとはその講義を聴いて書き取った学生のノートをいくつか参照、
一部誤りは訂正したというのですが狩野のしゃべり口調、
といっても漢文訓読調なのですが、
それを見事に文章に移していささかも滞ることがありません。
先生も学生もよほどのノートがあったと見るべきか、
編集者の「編集」が相当はいっているのか、
往時の大学の授業の様子を深く知りませんので、その点はわかりません。
名著と言われてきて、いまでもまず読むように勧められるものですが、たしかに。
四書からはじめて中哲関係のテキストを読んで、平行してこれを読むと、
少しづつですが頭に入ってきます。
昨年はまったく門前払いという感じでしたので……(あくまで当社比です)。
こればっかりでは、頭がぼーっとしてくるので
夕方からは、編集工房ノアの社主涸沢順平さんの『遅れ時計の詩人』
そして続編の『やちまたの人』をゆっくりと読みました。
いずれもノアと縁あってここから本を出版された、
あるいは交流のあった方への惜別のことばをまとめたもの。
そういう本が存在するというのも考えてみれば稀有なことです。
これはいいですね。
ノアの本は天野忠の詩集にはじまり以来ながく楽しませて貰っています。
ご夫婦でコツコツとやっておられる出版社ですが、とても大きなお仕事と思いますね。
*瀬田川にて