戦時下の岩波文庫
午後から天気が荒れ模様になってきました。
今日の本は 江戸中期長崎の町人学者西川如見の
『町人嚢 百姓嚢 長崎夜話草』岩波文庫
小生がもっているのは戦時下の昭和17年の刊行です。
用紙や状態はよく、まだ戦況も切羽詰まっていない時期と知れます。
身分や職能に応じた道徳を中国の古典を引き、
日本の文学に喩え、社会、地域に即して解き明かします。
幕藩体制における身分秩序を支える思想といえばそうですが
これが理解できるのなら
世に身分はあれども知性には変わりは無いということの証になりますね。
儒教的秩序を肯定しながらも、現実の社会・経済に即して柔軟。
町人学者としての面目が感じられて面白いです。
それにしても戦時下でさえこういう地味な本が一万部も印刷出版されていた(奥付による)のに驚くとともに、現下の「本ばなれ」のゆくえを考えてしまいます。
*もちろん右から左によみます